シリア南部ダルア陥落:難民がイスラエルか国連に保護を要請 2018.7.14

写真出展:REUTERS/Omar Sanadiki
シリア南部デラアでは、2週間に及ぶ激しい戦闘の末、ロシアが仲介した停戦合意が成立し、反政府勢力が武装解除するとともに、これに応じない者がイドリブ方面へ移動している。これを受けて12日、シリア政府軍が、ダルア市内で、勝利宣言とともにシリア国旗を掲げ、内外にその陥落が明らかとなった。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5309059,00.html

今後、シリア軍が、イスラエルとの国境ゴラン高原方面の反政府勢力掃討を開始することは避けられない見通しである。

<イスラエルはアサド政権容認を表明:ネタニヤフ首相モスクワ訪問>

写真出展:GPO
内戦勃発の町ダルアがシリア政府軍にほぼ陥落した11日、プーチン大統領のワールドカップ外交の一環で招かれたネタニヤフ首相がモスクワを訪問していた。ネタニヤフ首相は、プーチン大統領に、イランとヒズボラをシリアから撤退させるなら、治安維持に支障とならない限り、イスラエルは、アサド政権がシリアを支配することを容認すると伝えた。

公式発表はないが、イスラエル政府関係者によると、ロシア、さらにはアサド政権も、イランの独走には閉口しており、イスラエルのイラン追放の要求が実現する可能性はおおいにあるとの楽観視を語っている。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5308957,00.html

しかし、アメリカからは、イスラエルに対し、ロシアを信用しすぎないよう、警告する意見も出ている。

https://www.timesofisrael.com/top-us-senator-warns-israel-against-deal-with-russia-over-syria/

<戦闘を前に:シリア難民がイスラエルへ保護を要請>


イスラエル・メディアTPSによると、ネタニヤフ首相・プーチン大統領会談の翌12日、ゴラン高原周辺に逃れてきていたシリア南部からの難民たちが、シリア政府軍の攻撃が間近に迫ったことを受けて、イスラエルか、国連による保護を要請するデモを行った。

しかし、イスラエルは、シリア難民を領内へ受け入れることはないと表明、代わりにゴラン高原シリア側で医療・人道支援を行っており、今後もこの方針に変わりはない。シリア難民たちもこの点は理解しているようだが、今はイスラエルに頼るしかないというのが現状だろう。

今後、この地域でシリア政府軍と反政府勢力が戦闘に入った際、イスラエルに被害が及んだり、流れ弾が飛来しないかどうかに加え、難民たちが一斉にイスラエルに流入を試みないかどうか、またその際にどう対処するのかに備える必要があるだろう。

https://www.jpost.com/Middle-East/Open-the-borders-Syrians-appeal-to-Israel-calling-for-intervention-562366

<トランプ大統領とプーチン大統領会談予定:16日>

写真出展:CNN
トランプ大統領とプーチン大統領は来週月曜16日、ヘルシンキで会談することになっている。内戦後のシリアについても話し合うとみられる。

イスラエルが懸念するのは、アメリカ軍の撤退の時期。ポンペイオ国務長官は、イラン軍が撤退を完了するまで、アメリカ軍は撤退しないと言っているが、どうもトランプ大統領自身の考えと一致していないのではないかとの懸念もある。トランプ大統領は、アメリカ軍を中東から撤退させることを公言しているからである。

そのトランプ大統領だが、プーチン大統領との会談に先立ち、現在、NATO首脳会談に続いて、イギリスを公式訪問中である。

NATOでは、アメリカだけが多額の費用を負担をしていると訴え、他の国々も資金負担を増額すべきだと主張して、交渉は難航した。トランプ大統領は、「ロシア(NATOの敵国)と交渉する方が楽だ。」と発言し、これまたヨーロッパ諸国のブーイングを買った。

イギリスでは、市民たち数千人が、反トランプデモを行っている。いうまでもないが、トランプ大統領はまったく気にしていないようである。

http://time.com/5334381/president-trump-putin-europe-nato/